アトランタ発第12便

2001・10・25

 

 すっかり秋が深まりました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。こちら、朝晩はかなり冷え込んでいるようですが、日中はそれほど寒くはありません。でも、芝生は枯れはじめ、トマトは最後のいくつかが残っているものの、もう哀れな状態になりました。でも、「ちょっと目を上げる」と自然の紅葉は言葉も無いほど、本当に美しいです。私は見事に染まった赤や黄色、オレンジ色の葉っぱや、いろんな形のドングリを集めて、家の中でも「小さな秋」を楽しんでいます。夏の間、聞こえなかった鳥の声も賑やかになり、リスたちもせっせと冬用のドングリを集めているようです。2週間ほど前に、いつも通っている大きな通りの交差点近くに「熊」が出たそうです。やはり、動き回る季節なのでしょうか。そこは森のはずれでもありますので「鹿」などは良く見られるのですが、熊まで、と聞いて驚きました。でも、撃ち取った、とも聞きません。みんな車で通りかかるだけですから問題ないのかもしれません。

ニューヨークでは今も、徹夜で働いている人がおられ、苦しんでいる方々が大勢いらっしゃることを思うと心も痛み、毎日祈っていますが、一方、こういう時こそ、全世界をすべ治めておられる神様を仰ぎ、落ち着いて過ごすべきだとも教えられています。この騒ぎで、仕事を失ったと言う人の話も良く聞きます。「出来るだけ、買い物をして、景気が落ち込まないように協力しよう」という呼びかけも行なわれていますが、この方は私たちには、ご期待に添う事が出来るとは思えません。せめて出かけるだけでも、と小さな協力を心がけるばかりです。

ダディは、神様の恵みのうちに最初の学期を無事に終わることが出来ました。11人の内3人は「残留」だそうですが、新しい人も加わって、今週から始まった新しいクラスも11人だそうです。先週は1週間お休みでしたので、頼子が休暇を取って、母校のカヴェナント・カレッジも見てもらうということで、テネシー州チャタヌガへ連れて行ってくれました。そこには、120年前の鉄道の駅が、チャタヌガ・チュー・チューと呼ばれる観光地になっています。大変大きな駅で、その昔、砂金堀でにぎわった頃を想像することができるような雰囲気で、今は、ホテルとしても使われていました。120年前と言うと、日本はどんな時代だったでしょうか。やはり、鉄道がお目見えした頃かもしれませんね。学校はルックアウト・マウンテンと言う山の上にありますが、途中にはルビー・フォールズという鍾乳洞があり、かなりの深さの地底にすごい高さの滝が落ちていました。また、ロックシティー・ガーデンと言う岩ばかりのお庭があって、山梨の昇仙峡の風景を思い出しました。この山は、冬の間、殆ど雲の中か、その上に出ているのだそうですが、今回は文字通り七つの州が見渡せると言う最高の景色で私たちを迎えてくれました。それにしても、21年前、首の手術を済ませ、ギブスをつけた状態の頼子を入学のため連れて(?)来たのが、昨日のことのように思い出され、月日の流れの速さを実感し、あらためて今日までお守り下さった神様に感謝したことでした。

私の毎日は、かなり忙しくなってきています。というのも、血糖値との戦いのためです。コレステロールをはじめ、いろいろ問題だった数値はみな、正常範囲に収まってきましたのに、血糖値に関しては薬の効きが悪くさらに高いくすりを使うかどうかと言う事になり、「徹底的に運動をしてみよう」と決心をして、先生の了解を頂きました。朝は、ダディを送り出すと同時に(七時半でやっと明るくなったというくらいですが、スクールバスも動いているし、出勤の人々も車のエンジンをかけ始め、ウォーミングアップ中、人の動きもあり、安全面では大丈夫らしいので)、40分から50分歩き、食事の後も、午前中に最低1時間は外の仕事(庭仕事、今は落ち葉の片付けが主です)をし、午後は、ダディが3時頃に帰って来ると二人で、買い物とは別に、30分から40分歩いて来ます。公園に行くこともありますが、主としてモールです。帰ってくるともう夕食の準備の時間になってしまいます。でも、運動の効果は目覚しく、明日で1ヶ月続けたことになりますが、この分なら薬を減らすことができるのではないかと希望が持てるようになりました。しかし、そういうわけで、何かをする時間が、本当に少なくなってしまいました。でも、こうやって自分の健康のために使える時間が与えられていることを本当にありがたいことだと感謝しています。落ち葉を片付ける仕事は、後からどんどん落ちてくるので、キリが無いように思うこともありますが、これも私の今日の運動だと言い聞かせながらやっています。それに、いくら多いと言っても,木の葉がみんな落ちてしまえば終わりです。ここに落ちて来るのは裏庭とその外に2・30本ある林の木の葉です。ほかに、庭仕事としては、面白いことに、この時期が、来春にそなえてパンジーを植える時のようなので(春になったら手に入らないとの事)、私もチューリップと一緒に黄色のパンジーを植え付けました。32本の花の付いている株がセットになっていて10ドル(1200円くらい)でした。パンジーのそばには、なぜかアジサイの鉢が、たくさんきれいな花をつけて売り出されていました。面白いといえば、春には見なかった筍も今が出盛りのようです。今が旬なのでしょうが、やはり、日本から遠いところなのかな、と感じたりしています。

季節の話題としては、今度の日曜日から夏時間が終わり、平常の時間に変わります。まだ薄暗い時間にバスに乗って出かける子供たちがかわいそうでしたが、それも今日で終わりです。教会の週報にも大切なお知らせとして書かれていました。スクールバスといえば、こちらでは、殆どがこのバスに乗っての通学ですから登下校の時間には、大中小の黄色いバスが町を走り回っています。このバスがラッシュの時間の恐怖になります。何しろ、子どもの乗り降りで止まるとなると、そのたびに、ストップのサインを出し、ピカピカの点灯を始めます。そうなったら、後ろについている車は勿論、進行方向が反対の車線であっても必ず止まって待たなければなりません。子どもが完全に道路を渡ってしまい、安全が確認されないとサインは引込めません。車の前にはカマキリのかまのようなものを出して、子どもが車の直前を駆け抜けるのを止めています。学校の近くは、速度を下げなければならないスクールゾーンですが、ちゃんとポリスも立っています。それですから、通学時間には出来るだけ、バスの通らない道を選ぶ事になります。これに違反すると、罰金を払わなければならないそうです。でも、これだけ、子どもの安全を守ると言うのは良いことだと思います。夏時間が終わると言うのは、ゆっくりで良い、ということですから遅刻の心配はありませんが、日本との時差は1時間増えて、14時間ということになります。どうぞ、14時間後にいる私たちを覚えてください。そちらの皆さんが夜の10時を迎える頃、こちらはやっと朝の8時です。これが来年の4月まで続きます。

この1ヶ月は、歩くことのほかに、武田たちが日本へ帰っていた間の婦人会を2回と、バプテスト教会の方の家庭集会を1回、つい先週の金曜日には、はじめて、ここ松井家での集まりも開きました。人の名前を覚えるのが苦手で少し心配でしたが、何とか覚えられて自分でビックリしています。頼子には、ほかに気を使うことが無いからでしょう、と言われてしまいましたが。一度持ち寄りの食事に花ずしを作って(これは頼子が作ったのですが)持っていきましたために、11月の家庭集会(5日)では「花ずし」の講習会も頼まれてしまいました。「練習しなければ、」という私に、圭三さんから「試作品、食べる手伝いをしますよ」と親切なお言葉を頂いています。

テロ騒ぎで、無期延期になっていたジャパン・フェスタ(秋祭り)も今週末には行なわれる事になっていますし、あちこちの道路ではハロウィンのカボチャが売られています。教会で悪魔のお祭りみたいなハロウィンをなぜやるの?という質問を私もしたものですが、別に教会でやっているわけでもないらしく、ただカボチャが並んでいるだけみたいです。  あくまでも、子供たちの遊びと考えると楽しいものです。庭の芝生には怪しいボンボリが立てられ、木の枝には骸骨人形がぶらさがり、枝先には白いレースを被せたむらさきの風船がユラユラと風で動いたりしています。先週の土曜日に山の方へ「もみじ狩り」をしようと出かけたのですが、大きなお祭りにぶつかり、先に進むことができず、あきらめてそのお祭りをのぞいて帰ってきたのですが、それは、みんなで「インディアンごっこ」をしているようなお祭りでした。斧なげをさせるコーナーなどもありました。

モールの中などでは、もうクリスマスの飾り付けが始まっています。夏の間、短パンとTシャツだけで過ごしていた人々が、急にドレッシーな格好にあこがれるのか衣類のコーナーはとても華やかになりました。特に女の子たちのロングのワンピースドレスにはビックリします。本格的にクリスマス・シーズンらしい雰囲気になるのは、サンクスギビングデー(11月第4木曜日の感謝祭)が終わってから、ということです。

私たちは、保険の関係で3月に一度帰らなければならない事になりました。ダディーの学校は、1月の学期が3月1日で終わりますので、次の一つの学期を休んで、5月の学期までの間に計画しようと思っています。お金のかからない旅行をじっくり研究してみようと新しい宿題をもらったような気分です。

 どうぞ,皆様もお元気で、すてきな秋をお楽しみ下さい。神様のお守りを祈っています。

郁子 

 

 

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