アトランタ発第4便
2001・5・18
神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています。
ローマ8章28節
早いもので、こちらに来て五十日になります。すっかり初夏の空と緑です。夕方、スプリンクラーで水を撒いていると、胸から腹にかけてオレンジ色をした小鳥が三羽、毎日のように遊びに来て、水浴びをしたり、砂浴びをしたりして、とてもかわいいです。
私たちも異常な事態の中ではありますが、毎日の生活に関してはすっかり慣れてきました。
ご心配いただいておりますダディも、二十一日の手術の日に向かって、神様の豊かな恵みを感謝しながら過ごしています。
昨日、(17日) セントジョセフ病院へ行ってプリテストと言われる幾つかの検査を受け、詳しい説明を受けてきました。心臓手術に関しては、専門のセンターで評判の良い病院だそうです。
手術は毎日、行われているそうで、入院から退院まで、そして、その後の生活までがビデオにまとめられていて、まず、それを見せられました。
入院に先立って、前日に二回、当日の朝一回シャワーを使うようにと、そのための特別な洗剤を三個いただきました。(顔に使ってはいけない、というもの)
食事は夕食をちゃんと食べ、夜中の零時から絶食にしなければなりません。と言っても、朝七時半までに病院に入るのです。起きてからシャワーを浴び、六時半には出かけなければなりません。空腹を感じる暇は無いでしょう。
忠信は夜中の十二時ころに着くはずです。シーソー牧師も「手術室に入る前にお祈りしま
す」、と言ってくださいましたが、こんなに早いとは思っていらっしゃらないでしょう。
手術室には五時間くらい入っているそうですが、手術そのものは十一時からで、二時間くらいとのこと。
その晩はICUで過ごし、翌日はじめて病室に移されます。そうなれば、家族も泊り込んでも良いようですが、手術後は、出てきてすぐに一度、顔を見ることが出来、その後は、ICUの規則に従う、ということで、夕方の五時半、八時半、朝は五時半、八時半、午後の一時半に、一度に二人まで、二十分だけ中に入ることが出来ます。
手術の時に人工心肺を使うので手術後も、しばらくは人工呼吸器がつけられていますし、外されたあとも、自分で呼吸するように一時間とか二時間ごとに何かの補助装置を使って深呼吸の訓練のようなことがあるようです。
それにしても、ICUにいる間にですが、呼吸器のチューブが外されたら、その日のうちに、腰掛に座らされ、次の日には立ち上がらせるのだそうです。そして、一般病室に移ります。
病室は、ナースステーションを囲むようになっているので、二日目の行動としては午前中にその周りを一回、午後に二回、そして三日目には三回まわるようにとなっています。
詳しく説明されているパンフレットを渡されました。完全には分かりませんが、二日目からは如何にして心臓を健やかに保つか、ということで、食事や生活全般についての勉強もしなければならないそうです。
そして、予定では五日目と言いますから金曜日には退院と言うことになりそうです。
あとは、実際に退院してからの手紙で、アメリカにおける心臓手術体験をお聞きください。
もう一つ、日本では考えられないことがありました。
それは、費用のことですが、前の手紙で書きましたように、半額の一万二千五百ドルを前納するつもりでおりましたら、病院から電話があって、「もし、半額でなく全額を前納すれば合計二万一千ドルにすることが出来ます、もちろん実際にかかった費用の金額も知らせるし、保険に必要なすべての明細書も出すし、万一不測の経費がかかっても、あとは一切請求しません」と言う話が来ました。圭三さんも、これは良い話だと言うので、そうすることにしました。四千ドル安くなるわけです。
こちらの、病院にかかると、ドクターのオフィスから、レントゲンの部屋から、何かの機械のオフィスからと言うように、あちらこちらから請求書が来ます。ある人は、もう忘れた頃に思いがけない請求書が来てびっくりした、と言っています。そういう事を、考えるとこれはとてもありがたいと思います。
私も、今度のダディの入院中に、日本クリニックで診察を受け、糖尿病の治療をはじめようと思っています。高橋和子さんからのニュースで、薬を四十パーセント安く買えるクラブ(年会費百ドルくらい)があるそうで、この近くでそれが可能かどうか調べたいと思っています。和子さんも、アメリカに来て九年目にして、はじめて知った、ということですが、本当にいろいろなことがあるものです。
ここまで、書いたところでドクターから電話があって、緊急の手術が入ったのでダディの手術が一日延びると言ってきました。二十二日の火曜日、時間は同じとの事です。
この前の手紙のあと、十四日にコンピューターが届きました。どこか、森進一に似ている方が届けて来られました。こちらの事情なども説明してくれました.お勧め通りにアースリンクに登録してもらいました。日本語での表示が出れば、きっとすぐ自由に出来ると思ったのですが、どうしてどうして、小さな違いでとまどってしまい、やっと今日、これを書いています。一緒にプリンターとスキャナーも取り付けてもらったのですが、これは、こちらで買ったので、説明がすべて英語なのです。ダディは結構それを読みながら試行錯誤といいますか、何とか使いはじめていますが、私はまだです。
ダディの体力の方ですが、一時は七、八キロ減った体重が二キロほど戻ってきたそうで、パジャマは着ていますが、かなりの時間起きていられるようになっています。NHKが日本語で入りますので、マイケルたちに頼まれて、テレビのすもう番組をビデオにとっています。ついでに、タイマーの使い方が分からなくなっていたビデオを何日かかかって、とうとう二台ともちゃんと使えるようにしてしまいました。何しろ日本の番組で見たいものが深夜に放送されたりするのでタイマーがないと大変なのです。しかし、頼子たちは、いただきものだったので、説明書がなくなっているしと、あきらめていたようです。
私は、コンピューターより先にしなければならないこと、覚えなければならないことがあります、たとえば、洗濯機や乾燥機の使い方,ディッシュウォッシャー(食器洗い機)の使い方、その他、です。やっといろいろ覚えましたが、覚えてしまえば大変楽なことです。
庭の水やりは楽しい仕事ですが、節水注意報が出ているので一日おきの夜十時から朝の十時までしか出来ません。家の番地が偶数か奇数かで水撒きの出来る日も決まります。我が家は2661なので、奇数の日だけOKです。ただ、新しく植えた芝には、まだ毎日やらなければなりません。実は芝の管理会社が三日前に穴あけ手当て(ローラーみたいなもので庭の十センチおきくらいに縦横に、1.5センチの4.5センチくらいの土を抜き出す)をしました。庭中にコルクの栓が転がっているみたいです。これは、芝に空気をあげるのだそうですが、そのあとはたっぷり水をやらなければならないそうで、雨を期待しています。水やりで違反が見つかると、一度目は警告、二度目は罰金、三回目には水が止められるそうで注意しなければなりません。
でも、気温は八十度位で快適です。三十二を引いて九分の五をかけると摂氏になります。
簡単にするには、三十二を引いて、残った数を半分にすれば少し低め位で大差はないそうです。でも、八十度と聞いて二十五、六度と実感するには時間がかかりそうです。
気温のことだけでなく食事をするときのチップは,昼、十五パーセント、夜二十パーセントが,このへんの相場だそうですし、距離に関しても、ここと武田家の間は四十マイルくらいといわれると、1.6を掛けなければキロになりません。小さな計算機がいつもバッグに必要です。何時頃になったら、換算しないで、そのまま感じ取れるようになるものでしょうか。
十三日は母の日でした。教会では、私が一番年上の「母」でしたので、きれいな花束をいただきました。これは、私たちが、いわゆるコンテンポラリーと言われる若いリズムの礼拝に出ていたからで、普通の礼拝には八十、九十の方が沢山いらっしゃいます。
また、その日には圭三さんと頼子がこちらでお世話になっている国際結婚をしている友子さんを毎年ご招待しているので、今年は私たちも一緒に日本料理屋さんに連れて行ってもらいました。ほかに、三人のお友達も加わり、にぎやかな夕食会でした。そのとき、友子さんが牧実から、そして、ご自分でもそれに加えて作ったカーネーションの花束を持ってきてくださいました。素敵な二つもの花束をいただいて、うれしい母の日でした。
そして、昨日、十七日のことですが、病院の検査の後、恒義さんが途中まで迎えに来てくれて、やっと、ボーエンの武田家にいくことができました。私は三年ぶり、ダディは十年ぶりでした。三年前から比べても、あまりに開けてしまったことにびっくりしました。
すぐ前の道路を、歩行者用のボタンを押して渡ればターゲットという大きなおみせです。隣の森は、伐採されて老人向きの住宅が沢山できるのだそうです。恒義さんは、大きな坊やのように『はたらく自動車』見物をして、毎日楽しんでいるようで笑ってしまいました。ポツンと残った感じの森の中に日本人教会があるわけです。住宅のセールスをする人が、日本人にも買ってもらいたいという事で、日本領事館に『近くに日本人教会がある良い環境だから』と売り込みに行ったそうですが、本当にその言葉が物件の価値を高めるような力を持てば嬉しいのに、と思いました。
武田家では、美味しい、ちゃんちゃん焼き、と言う北海道のシャケのご馳走をいただいて、楽しい気持ちいっぱいで送ってもらって帰りました。
ちなみに、チャンチャン焼きは、鉄板なべみたいなもので、大きな生シャケのブロックの上にいろいろな野菜を載せて焼き、お味噌とみりんを混ぜたもので調味するものでした。近々、我が家の献立にも登場することになるでしょう。皆様も、お試しになりませんか。美味しいですよ。
どうぞ、皆様の上に、神様のご祝福がありますように。
郁子