一麦:渡辺家のHP
アトランタ発第14便
2002・1・2
新しい年のお慶びを申上げます。
二十一世紀の幕開けの昨年は、考えられないほどの悲しいニュースの溢れる年となりましたが、2002年はどんな年になるでしょうか。暗い予想が並べられていますが、その中にも神様の愛と恵み、そしてご栄光の現わされる年になることを期待しています。
私たちも新しい地で、特別な思いを持って恵み溢れる一年を振り返り、心から神様に感謝と賛美をささげています。クリスマス前頃から冷え込んで来ましたので「コタツ」を出しました。私たちの部屋でコタツに入って、日本語のテレビを見ながらお茶を飲んでいると、おいでになった方が「ここは日本ね!」とおっしゃるほどです。
忠信一家は22日の夜遅く到着し、昨日の朝元旦を一緒に迎え、お昼には再び13時間かかる帰途につきました。賑やかな楽しいクリスマスシーズンを過ごすことが出来ました。
全員揃った23日の日は、まず、全員でアメリカのニューホープ教会の早朝礼拝に出席しました。ここでは圭三さんと頼子が「アドベントのローソクに点灯する特別な家族」に選ばれ、私たちも一緒に前に出て、圭三さんの小さいスピーチのあと、ダディが4本のローソクに火をつけるお役目をさせていただきました。スピーチは、西條八十が作詞をした童謡「カナリヤ」が、あるクリスマス礼拝で、一つのライトが切れていたのが印象に残ったことから生まれたこと、作者の意図が、役に立たない‘唄を忘れたカナリヤ’を「象牙の船に銀の櫂、月夜の海に浮かべて」、優しく「待って」下さる神様の愛を歌うことにあったことを紹介し、日本を知りたがっている教会の方々に大いに喜ばれました。
そこが終わると私たち二人は、ウエストミンスター日本人教会のクリスマス礼拝に駆けつけました。ダディは毎回練習に出られるわけではないのですが、クワイヤーの仲間に入れていただいて楽しそうに歌っています。クワイヤーは良いリーダーが与えられていて素晴らしい賛美を聞かせてくれます。高橋和子さんも牧実も入っています。私たちは、学生時代「世の光」の放送クワイヤーで一緒に歌った仲間ですが、私は何年か前から声が思うように出なくなっているのでクワイヤーは引退し、その練習時間は、もっぱら台所のおしゃべりクワイヤーのメンバーにしてもらっています。お昼には、良いネタがいっぱいの「チラシずし」をいただき、次々に出る祝会のイベントを楽しみました。夕方一旦帰宅し、夜はまた家族全員で、ノークロス・バプテスト日本語教会のキャンドルライト・サービスに参加しました。前の週の礼拝では、張り切って愉快な「降誕劇」を見せてくれた若者たちが、聖歌隊と共に、しっとりと賛美と聖書朗読で、最初のノエルを再現してくれました。ボートライト先生は80歳になられますが、まだ熱心にご奉仕をしていらっしゃいます。日本語の困難はあるのですが、今年は洗礼を受ける方が多く起こされ、この日もクリスマス礼拝の中で洗礼式が行なわれました。
24日のクリスマスイブには、また、全員で(圭三さんは仕事でしたが)ウエストミンスター日本人教会のキャンドルライト・サービスに参加しました。忠信たちには久しぶりの日本人教会でした。初めての方の顔もたくさん見られ(一番遠くは、ハンガリーから)、集まりの後は、あちこちで自己紹介をしながらの素晴らしい交わりの時間を過ごしました。バプテスト日本語教会の若者たち10人近くが出席し、プログラムの中で、何回か賛美を披露していました。音楽専攻の学生もいるので、新しい感覚の賛美もありました。若者たちは、教会を超えて良い交わりを持っています。この「教会を超えた」日本の若者たちのカンファレンスが、ロスアンジェルスで開かれることになっており、なんとアトランタ地区からは50人近く(未信者を含む)が参加するそうで、やがて何かの大きなうねりになることが期待されます。
クリスマスには間に合わなかったのですが、武田家のあゆみちゃんがニューヨークから、のぞみちゃんとジェフがザックン(ザッカリー)をつれてロスから到着したというので、
30日の夜、ノンちゃんのおなかの子も含めると14人半の顔ぶれで、楽しく夕食会をしました。ゆかりちゃん一家が揃わなかったのは残念でしたが。
松井家では、元旦の夜、毎年の恒例としてお客様を迎えることになっているので、年末29日からはオセチつくりでした。伝統的なもの、渡辺家で作っていたものに加えて、新しい頼子のものがあり、二人で楽しく作りました。こちらでは、食べたい物は、「買う」のではなく、「作る」ことを考えなければなりませんが、幸い材料は手に入るので感謝です。
大晦日は朝8時半から、日本の「紅白歌合戦」(中継録画)が流れ出しましたが「仕事を片付けて」という日本の場合とは違い、後でゆっくり楽しむために録画をし、チラチラと眺めながら仕事を片付けていかなければならないというのが、時差で違うところでしょう。
明後日4日には、青森で一緒に働いていたネットランド先生の奥様が、末っ子のグレースの所に来られるので、お会いすることを楽しみにしています。私は三年前、シアトルから5時間かけて先生のお墓を訪問した時以来です。グレースと頼子は、二人とも小さくて青森時代のことはまったく覚えていないのですが「一緒に住んでいた」ということで親しくしていて、グレースは、我が家でのクリスマス会にも参加、達者な日本語でみんなとおしゃべりをし、おすしを喜んで食べていました。
話しはさかのぼりますが、12月7日でダディの学校がお休みになり、お約束だったチャールストンへ行ってきました。インターネットで良子エリスさんの家の番地と、出発地の我が家の番地を入れると、*最短距離 *最短所要時間 *景色の良い道 など要望に応じて実に丁寧な道案内と地図(ズーム式で、必要なところは拡大すると、細かい道まで見られます)が出ました。行く時は、前に恒義さんと行った道を通り、帰りはその道案内に従って帰って来ました。どちらも問題なく6時間足らずのドライブでした。天気は、行きは土砂降りの雨の中、帰りは霧の中という旅でした。景色は、この次の楽しみになりましたが、「注意深く」なって良かったのかも知れません。こちらのハイウエーは、地方に行くと起伏はありますが、真っ直ぐな道が続きますので、知らず知らずにスピードを出すぎます。しかし、オート・クルーズを制限速度にあわせてセットしておくと、登り坂でも、下りの道でも一定の速さで走ります。オートマチック車ですから、右足だけで運転できますが、その右足もお休みです。ただ危険に備えて、いつでもブレーキが踏めるように待機しているだけで楽だし、スピード違反の心配が無いとダディが喜んでいます。エリスさんのお宅では、ご夫妻が暖かく迎えてくださり、良子さんとは、日本で我が家に数日滞在されたころの思い出話にも花を咲かせました。2回の集会では、心温まる交わりも与えられ、本当に楽しく感謝感謝でした。12月は交通取締りも厳しくなるから気をつけなければと話しながら食事に出かけたところ、青い光のポリスカーがやたらに目に付き、なるほどと、納得していましたら、実は、大統領がベースに来ていて帰るところでした。到着した日に、一人のメンバーの方が入院し、どうやら、劇症肝炎らしいという連絡が入り、(詳しくは分からなかったのですが)翌日お祈りに行きました。耳は聞こえるらしいけれど話しはできない、ということでしたが「イエスさまを信じますか」という質問に大きな声で「イエス」と応えられビックリしました。私たちが家に帰って3日後に天に帰られたというお知らせがありました。
クリスマス行事の間に、楽しい初体験が二つありました。一つはプロ・アイスホッケーの試合見物。「寒いから、そのつもりでね、」と言われて、暖かい衣類などを小さいリュックに入れて行きましたら、厳しいチェックで、中身を全部出して調べられました。前から6列目の良い席で見る試合は、スピードがあってとても面白かったです。高校生の頃、軽井沢のサンセット・ポイントへの上り口にあったスケート場(野天)で、金網越しに見た事があったな、とあの頃の風景まで思い出しました。
もう一つは、バレー「くるみ割り人形」の観賞でした。大変古い歴史的建物だと聞いていましたが、80年前に建て直しをしたという、フォックス劇場は素晴らしい芸術的な建物で、高い丸天井は、満天の星空のように作られていました。休み時間には競り上がってきた巨大なハモンドオルガンの演奏をすぐ近くまで行って見ることもできました。勿論、バレーの踊り、音楽、構成、演出、すべて楽しむことができました。
帰りに、近くのオリンピック公園のライトアップされているショー?を見物して歩いたのですが、その後の夜のドライブも、上空を飛ぶ飛行機までが大きな星に見え、とてもきれいでした。(私の乱視のせいかも)そのまま、家に帰るのが惜しくて、家々が競っている電飾も見てまわりました。あちこち回りましたが、我が家の住宅地は、中でもきれいに見えました。ツララのような電飾が軒に下がり、カラフルな電気があたりを明るくするほど飾られていて電気代が心配になるほどです。こんな家が2,3軒続くところには私たちみたいな見物の車も見られましたが、本当に楽しい夜でした。
さすがに、あたりはすっかり、冬景色になってきました(今日は初雪です)が、周りの風景の中に、常緑樹の緑と、葉が落ちて裸になった枯れ木のほかに、茶色に枯れた葉をしっかりつけた、頼子いわくの「汚い木」が目に付きます。柏の仲間が多いようですが、新芽がふく春先までがんばっているそうです。そういえば、あの美しい花を咲かせたネムの木も、花の後に長い間、汚く見える種をぶら下げていました。何か子どもを守って醜い姿をさらしているようで、本当は「優しい木」と言うべきなのかも知れませんね。
優しさと言えば、スーパーの中に、普通の買い物カートと一緒に、電動車イスに「かご」を付けたものが何台か置いてあるのに気がつきました。お年寄りや障害者の方が、不自由な中でも自立した生活をしやすいような配慮があるのを見つけ、何だか嬉しくなりました。ニュースでは日本の寒波を伝えています。お風邪を召されませんようにご自愛下さい。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。皆様の上に豊かなご祝福がありますように。
愛をこめて
渡辺郁子