一麦:渡辺家のHP

 

アトランタ発第15便

2002・2・12

日本でも、悪い風邪が猛威を振るっていると聞きますが、いかがお過ごしですか。こちらでもかなりはやっていて、ダディが二日ほど学校を休みましたが、今日は元気に出かけて行きました。圭三さんも鼻をぐずぐずやっていましたが、昨日はテニスで汗を流して来て、「テニスをやったらなおっちゃった」と終了宣言を発していました。私と頼子は元気です。 

一月、二月と誕生日が続いて、牧実と私は同じ年を重ねてきました。今回は高橋和子さんも二月生まれですので、三人の誕生祝を一緒にすることにして、1日に会食をしました。三人の誕生会を三回やったと思えば少し予算を高くしてもいいよね、と勝手な理屈をつけて、私たちとしては破格の覚悟で、あこがれの「おまかせ料理」を戴こうとしたのですが、電話をした段階で、「そのご予算ではおまかせは無理」と言われてしまったという次第…。三人でいろいろ無い知恵を絞った、そのドタバタはとても文字にはできません。お察しください、ということですが、毎度の事ながら、幼稚園並みの賑やかさの中で、めでたく全員年をとりました。異国の地にいながら、五人が集まればすぐ、学生気分に戻れる私たちは、幸せだと思っています。

クリスマスが過ぎ、お正月も終わり、早いもので暦の上では春になりました。元旦、二日の雪の後は、二回ほど、寒波でアイスになるかも知れないから「天気予報と、ローカルニュースに注意するように」と学校で言われたことがありましたが、結局は何もありませんでした(アイスになると、全てが凍りつき、ツルツルになるので、学校も教会も休みになり、外出も控えるように報道されます)。かえって暖かすぎるような陽気が続いています。毎年のことだそうですが、何回も狂い咲きをすると言われる富士桜?(小さいピンクの花をつけた桜)が、もう三回目、今は狂い咲きとも思えないほどたくさんの花を咲かせています。学校の姫コブシも紫木蓮も満開だそうですし、今朝は近くの木蓮の蕾も開き始めているのを見つけました。もう冬は終わりなのでしょうか?この前の日曜日、アメリカの教会のコンテンポラリーな礼拝で、ちょっと注意して見回してみましたら三分の一ぐらい半そでの人がいました。朝のウォーキングの時に、大きなカナダ雁が群れをなして飛んでいるのを見かけますが、冬の終わりを知って、北国に帰り始めたのですかね…

日本では庭の土いじりをし、草花の成長を朝ごとに楽しんでいましたが、こちらではそれができません。でも、目に入る全てを、自分の庭だと思って楽しめることが分かってきました。小さな生き物たちの生態、人間とのかかわりも、楽しくて飽きることが無いほどです。どこのスーパーでも、小鳥の巣箱や餌を売っていますが、巣箱なんて簡単なものではなく、立派なおうちばかりで、餌もドーンとおいてあるのは、お米の十キロの袋と同じぐらいの大きさです。  リスに取られないように、鳥の餌には唐辛子がまぶしてある、ということを聞きました。鳥は噛まないから辛くないのだそうです。一方、リスたちも相変わらず元気で動き回っています。この住宅地の中の道は8メートルも道幅があるのですが、そこをさかんに横切るのです。やはり、「隣の芝生」は魅力的に見えるのでしょうか。車はあまり通りませんが、それでも時々、事故にあっています。もう一つ、すばらしい冬の景色を見つけました。それは、上空が冷えている朝、飛行機の後にできる飛行雲が、なかなか消えないで重なり合い、縦横無尽に幾何学模様を画き、楽しい絵を見せてくれるものです。飛行機が多いということの証拠ですね。

美しいアトランタですが、去年のテロ事件の後、アトランタに移動してくる会社も多いそうで、このあたりの開発は一段と進んでいます。昨日の朝は、突然、道路の一角の林が消えていて驚きました。頼子はさかんに鹿の居場所がなくなることを心配していますが、程ほどに願いたいものです。鹿のためばかりでなく、私たちのためにもそう願っています。

三月に、私の国民健康保険請求のため、一時帰国することになっていますが、複雑な請求資料の整理をしていて、同じ薬の値段が、お店によって、月によって、大きく違っていることに気がつきました。日本では当たり前のように思っていた「定価」が、こちらでは当たり前ではないようで、しっかり確かめなければならないことを思い知らされました。食料品でも同じで、同じ3人分入りのラーメンを3ドル99(520円)で買ったところ、他の店で2ドル99(390円)で見つけて悔しがったりしています。どこに行けば、何を買えるかは大分わかってきたのですが、賢い買い物にはまだまだ勉強しなければなりません。

この間、ディッシュウォッシャー(食器洗い機)が故障しました。修理屋さんを頼み、約束の日になりましたが、担当の技術者が病気で休んだということで、日を変更させられたのです。代わりの人が来るとか、次の日には来てくれるのではなく、何と、行列で言えば最後に並びなおすことになったようで、忍耐の学習をさせられました。ついつい、「日本では」と言いたくなる場面でしたが、お店の人は、悪いとも何とも思っていないようですし、悪意が感じられないだけに、どうしてそんなことができるのか、考え方が理解できないことでした。夕食時に家族で話し合って推測できたのは、私たちの順番を予約客の最後につけることで、他の予約を動かす必要もなく、いたって「合理的処置」と考えているに違いないということでした。それで、文句を言う人があれば、その人だけ何とか考えればよいというのでしょうが、根本的に、「お客様は神様です」という感覚を持っている日本と、「出来るだけ合理的に」と考えるこちらの方針に違いがあるようです。どちらが良いかというのは本当には難しいことのように思いました。異文化問題の一つかも知れませんね。

もっと細かいことで、いくつか面白いことを発見しました。こちらでも、いわゆる売り出しセールを良くやっています。セールの時、シールを張り替えた物が残った場合、セールの後でもシールをはがさないで、張ってある限り、そのまま売っているし、そうかと思うと、3個で1ドルの物を3個買うと、レジでは33,33,34セントと打っています。しかも、一つでも二つでも同じ値段で売ってくれるのです。3個目を買わないほうが1セントお得ということになります。店の看板でも面白いことがありました。靴はシューズ(複数)ですが、看板にシュー・ストアーと書いてあります。(全部ではありませんが)どうして単数なのか、しつこく質問をしてみたのですが、人間の足はみな左右のサイズが違っているもの、片方ずつ違うサイズの靴を買うことができるためだという、一つの答えをもらいました。実際は、たいていの人が同じサイズを買うでしょうが、ある会社がそんな売り方をして評判をとったことからのものらしいのです。

最後に、とても嬉しかったことを書いて、喜びをお分かちしたいと思います。11月半ばから個人的なクラスをもっていることを前に書きましたが、そのKさんという奥様は、七年前に結婚されたご主人様と、五年前からは家庭内離婚の状態で苦しんでおられました。ご主人様の方も苦しんで、ウエストミンスター日本人教会に出席するようになり、一年半前に洗礼を受けられたのですが、奥様の方は「手のつけようがない」状態で祈っているところでした。私がバプテスト日本語教会の家庭集会でお話しをしていたところに、近くの方がお誘いくださったのがきっかけでした。是非、個人的にというお申し出があって、私のクラスに来られるようになったのですが、とても素直に信仰をもたれ、真剣にやり直しをしたい、と祈られました。それからというもの、聖書に教えられている結婚観、夫婦の有り方について学び、今の時代の影響で考え違いをしているところを考え直す勉強などを繰り返し、できなかったと自信を失っているKさんを励まし続けたのですが、二週間後には、神様をたよっての新しい態度が見え始め、一ヵ月後には、五年ぶりの話し合いができ、新年を楽しみにしながら娘さんを連れて一時帰国されました。ところがその間、大晦日の夜、ご主人が自動車事故を起こされ、意識は戻ったものの元旦の朝、7時から手術ということになりました。もちろんKさんもすぐ帰りの便を探して帰ってくることになりましたが、この事態がどういう結果をもたらせるかが気がかりでした。でも、ダディが「これは、神様の仕上げのご計画だ」と言ったとおり、この大きな問題に、二人で仲良く立ち向かう様子を見せてくれました。生きていたのが不思議なほどの事故でしたが、「もう一度やり直しをしたい」というKさんの祈りに神様は応えてくださり、命を与えてくださいました。手術の結果もよく、松葉杖をついたご主人に寄り添って幸せそうにしているKさんを見て、本当にうれしく、神様に感謝をささげています。

ダディは、学校が1月半ばまでお休みでしたので、お正月8日のボートライト先生のお宅で開かれた家庭集会では、お話しを頼まれて一緒に出席しました。1月27日にはニューホープ・クリスチャン・チャーチ(アメリカ人教会)のコンテンポラリー礼拝で圭三さんの通訳によって説教の御用もさせていただきました。だんだん難しくなってくる勉強に追われていますが、それも楽しそうです。今晩はプロ・バスケットボールの試合見物に連れて行ってもらいます。今週は、また松井家での家庭集会がありますが、新しい顔ぶれも増えてくるようです。

神様のご祝福とお守りを祈っています。では又。                郁子

 

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