アトランタ発第26便

2003・3・21

皆様いかがお過ごしでしょうか。美しい春になりましたが、とうとう戦争が始まってしまいましたね。とにかく、始まった以上は、早く終結する様に願うばかりです。こちらの日常生活に、たいした変化はありません。最近、アトランタの日本総領事館から、国家安全保障省の「テロ攻撃に対する注意喚起」というインターネットで公開されている文書を翻訳して、eメールで送ってきました。16ページにも及ぶもので、日本でも勧められている防災用品(生活用品・救急用品など)のリストのほかに、生物性物質(細菌など)や化学性兵器の攻撃を受けたときの対策と準備などが、こと細かに指示されています。避難に備えて、車のガソリンを満タンにしておくようにという注意は、いかにもアメリカであると思わされます。

インターネットによるある調査によれば、アメリカ人が友好関係にある10カ国の中で最も好意をもっているのがイギリス、2番目がカナダ、日本は3番目でした。フランスが、西欧のなかでは最下位の6位、全体では7位だったそうです。高齢者の中には、第二次大戦中に、アメリカがフランスをヒットラーから解放したのに、フランスがその功績をあまり評価していないという思いが強いのが影響しているのではないかと分析されているということです。国連・安保理で対立が明らかになった時には、大好きなフライドポテトを「フレンチ・フライ」と呼ぶのを止めようという声も出ていると聞きました。

戦争騒ぎのせいもありますが、今は時期的に飛行機代が一番安いので、周りのいろんな方が帰国しています。今、一番安いのは成田まで往復で399ドル(5万円にならない)というのがありました。夏の三分の一ですね。私達も、去年の今頃は日本でした。こちらに帰り着いたのが一昨年と同じ3月31日でしたから、今年は初めてアトランタの美しい3月を楽しんでいます。日本では見たことのないハナナシ(Bradford Pears)のお花見がやっとできました。その少し前からヒカンザクラの濃いピンクがちらほら見えていたのですが、そこに、真っ白なナシが咲き出しました。満開の時は日本のソメイヨシノのお花見と同じようでした。ほとんどが大きな木になっており、この木の特徴ですが、大きな卵形で上が少しとがっている、またはちょっと「ふと目の三角おにぎり」を思わせるような、子供が描く「大きな木」の格好をしています。小さな花が房状に木いっぱいにつきます。そして、それが一度に咲きます。そして若葉が出てくるに従って、浅葱色の木に変わっていく様子もサクラと違っています。アトランタでは「どっちを向いても目に入る」と感じる位たくさんあります。1本だけ立っているのも見事ですが、たいていは何本かまとまっていますし、並木になっている所もたくさんあります。少し遅れてサクラも咲き始めました。あらためてピンクの花のかわいらしさ、枝ぶりの奥ゆかしさ、こぼれ咲きの味わいなどサクラの方も見直しました。

去年は日本のサクラを満喫して帰リ、アトランタのサクラを見た後、4月にはワシントンの“サクラ祭り”に行ったことを思い出しました。ポトマック河畔に劣らぬサクラの名所が、アトランタから車で1時間半ほど南に行ったところにあります。「世界の櫻の首都」とよばれているメイコンです。現在30万本のサクラがあり、21〜30日がサクラ祭りです。行ってみたい気持ちはあるのですが、今年は少々忙しくて無理かもしれません。

3月9日の午後、オハイオ州のデイトンからダディの従兄弟、河合喬史さんが和美夫人と次男の洋輔君と一緒においでになりました。洋輔君が大学に入り、お父様と同じ建築の道を進むと決められたので、この5月からの夏休みに、アトランタの建築関係の会社でアルバイトをすることになり、一人暮らしがしてみたいので、お部屋探しに来られたのですが、早速に良いところも見つかったとのこと。しばらくぶりで話も弾み、とっても楽しい時を過ごしました。和美さんは「冬から春に来たようだ」とアトランタのお花を喜んでおられ、「帰ったらまだ雪があるかも」とおっしゃっていました。

今年は、日本もそうでしたが、アメリカでも北の方は特に大雪でした。忠信のステカレダイアリーにも出ていますが、ペンシルベニアも雪かきで大変だったようです。でも、あちらの春も間もなくでしょう。ところで、アメリカの暦に「ファーストディ・オブ・スプリング」というのを見つけました。3月21日になっていますから春分の日のことでしょう。アメリカではこれが暦の上の春、つまり、春の初日になるようです。この時期、子供たちの学校は春休みで、アトランタのお店でも子供が多く見受けられましたが、マイケル、デービッドも、リンと一緒に前に住んでいたボルチモアへ行って、懐かしいお友だちと遊んできたそうです。

前便を書いた2月5日の後、何だかとても忙しく過ごしました。一つには、今後仕事が入って忙しくなる前にと、書きかけている「回想録」のようなものを仕上げようと思っているからです。でも、後半からは、色々別のこともありました。

1月にピーチトリーシティーの小林孝子さんのお宅で、家庭集会が開かれたことを書きましたが、其の後、小林さんのたっての希望が実現した形で、アトランタ在住のご婦人たちがさらに横の交わりを強められるように願い、「婦人達の交わり会―仮称」が企画されました。紀平佐和子さん(日本クリニックの紀平先生の奥様)アルコーバ泉さん(子育て勉強会をしておられる方―私の「クリスチャン・バーバの子育て論」をテキストに使ってくださっています)が世話役と言うか、発起人として立ってくださいました。私はオブザーバーとして参加し、25日の集まりでは「女性の歴史と生き方」をお話しさせて頂きました。いろいろ準備不足はありましたが、将来大きくなっていくのではないかと思います。次回は5月12日と決められ、これから準備が進められていきます。今年は、ウェストミンスター日本人教会の方が、会堂建設を重点目標にしているため、例年の「母の日記念ランチョン」ができないそうで、その時期に楽しいものが計画されればと期待しています。

ところで、私達は、国際免許を取ってきていますが、早くジョージア州の運転免許を取らなければならないのですが、何やかやでのびのびになっていました。いよいよ3月26日で国際免許の期限が切れるので、3月5日、私たちの住んでいるグイネットカウンティーの試験場に行きました。こちらでも学科と実技の試験があるのは同じです。学科試験は「標識」と「法規」の二つで、ジョージア州の場合はそれぞれ20問中15問正解で合格です。そして今は、筆記試験ではなく、コンピューターを使います。三者択一の問題が出され、一問ごとに「正解」「不正解」が判定され、今何問目で、正解x問、不正解x問というのも画面に表示されます。私はほとんど勉強していなかったので「標識」テストで落ちてしまい、ダディはパスして、「法規」の試験に進みました。これは日本語(コンピューターでなく筆記)でも受けられます。前もって正解のついた問題が手に入ったので、難なく通過のはずでした。ところが8問不正解でダメだったのです。家に帰って辞書を片手に法令・法規を調べ、1問だけは間違いを見つけましたが、後は合っているはずです。どうやら、試験官の手元にある「手引き」に間違いがあるとしか考えられません。英語には数種類の問題があるようですが、日本語は一種類だけのようですから、何度受けてもダメに違いありません。こうなったら英語で受けるしか仕方がありません。8日の土曜日に頼子にも手伝ってもらって勉強し、12日に再挑戦しました。時間は無制限で、辞書を使っても良いので、ジックリ取り組んで「標識」「法規」とも合格しました。私は免許証を出さなかったので、そのまま実技を受けさせてもらえず、仮免を貰いました。あとは路上で練習できるわけですから、少し練習してから受けようと思っています。ダディの方は、「法規」だけ受けて合格、すぐに実技に入りましたが、路上試験で3回もスピードを出し過ぎ(25マイル制限の所で、30マイルを越した)で落ち、翌日の再挑戦では「試験官」のハズレ(時々意地の悪い人、英語の聞きにくい人、やたらに厳しい人がある)で落ち、今日、三回目でやっと合格、免許証を貰ってきました。日本で50年以上も運転しているので実技で手間取るとは意外でした。因みに、試験は何度受けても無料で、免許証の発行手数料が15ドルだけです。

そんな間に、11日にはピーチトリーシティーの隣町ブルックスと言う町で、家庭集会に招かれました。サザンバプテストの小さいアメリカ人の教会の中にある日本人グループです。この集まりで、一人の方が決心をし、祈っていたお友達も大喜びでした。ここは田舎の町で、まわりは牧場と林ばかりのように見えますが、400人くらい(100家族?)の日本人がいるそうです。そこから更に少し離れた所にも、40家族がいるとの情報も、他の方から入っています。教団の支援を受けて、日本人牧師を求めているとのことでした。今後について、お互いにお祈りしましょうということで帰って来ました。

前後しますが、10日の夜はウェストミンスター教会で、日本からのゴルフツアーの中に「元ヤクザ」で今牧師、鈴木先生が加わっておられ、その脱出のお話を聞く会がありました。「親分はイエス様」という映画で、主演の渡瀬恒彦のモデルになった先生です。今晩(ノークロス日本語教会)と明晩(別の英語の教会)、世界的に活躍しているサックス奏者ロン・ブラウンのコンサートです。彼はミュージシャンとして成功しながら、麻薬に囚われどん底に落ち、そこからキリストを信じて解放された経験の持ち主です。これは、私達がお手伝いしている青年たちの集まり「JCFNアトランタ」が 初めて開く伝道集会です。23日にはウェストミンスター教会の礼拝でも演奏されるので楽しみにしています。来週は、春の庭仕事が待っています。

4月12日から28日まで西海岸に出かけますので27便はその後になると思います。

どうぞ、お元気でお過ごしください。神様の御祝福を祈りつつ。

郁 子

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