アトランタ発第48便
2005・9・7
台風14号の猛威をニュースで見ていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
一昨日、アトランタから2時間ほど離れたジョージア州北部のトッコアで行われたノークロス日本語教会の修養会から帰って来ました。出かける前にこの手紙を書くつもりでしたができなくなりました。それはこんな訳なのです。この修養会は、9月第一月曜日が「レーバーデー(労働者の日)」で三連休になるので、土曜日の午後から、月曜日の午前中にかけて行われています。私たちが参加するようになってから、礼拝前に日曜学校の分級を担当してお話をしていましたが、今年はご依頼がありませんので、のんびり参加させてもらえると思っていました。ところが、十日ほど前になってボートライト牧師から、「委員の誰かがお願いしたと思いますが、今週プログラムを作るので、テーマを知らせてください」とメールが来ました。このクラスは説教ではなく学習をと牧師に要請され、普段なかなか取り上げられない「課題」をと心がけております。一日祈り、テーマを決めて報告しました。その週はかなり予定が混んでいましたので、夜中に3,4時間起きて準備する日が続きました。ダディも出発前夜は徹夜になってしまいましたが守られ、お役目を果たすことができました。二人のクラス(もう一つ、英語のクラスもあります)にメンバーがどのように分かれるかは事前には不明です。今年はダディが「(福音理解のための)レビ記の手引き」私は「自然科学者による創造論・天地創造からノアの洪水まで」のテーマでお話ししました。両方とも同じ位の出席でした。皆様だったらどちらに興味がおありでしょうか。
前便を書いたのは8月5〜7日のウェストミンスター日本人教会のファミリー・キャンプに出かける直前でした。ファミリー・キャンプも修養会もそれぞれに外部から講師が招かれ、他州からの参加者もありますので新しい出会いがあったり、懐かしい再会があったり楽しい時です。今年のファミリー・キャンプは130人を超えたそうで、私たちはそれぞれ、スモール・グループのリーダーとしての小さいお手伝いをしました。初めての参加者がとても多いのも今年の特徴でした。私たちが毎月行っているサウスカロライナ、やアラバマからも参加されました。初めて参加したグリーンビル(サウスカロライナ)の理恵さんは「こんなに大勢の日本人のクリスチャンを見たのも、男性のクリスチャンを見たのも初めてだった」とおっしゃっていました。このキャンプの初日に高橋和子さんと牧実から「ポートランド(オレゴン州)の教会の牧師として昨年赴任した折戸さんの奥様が肺がんだ」というニュースが同窓生の的場明美さんから入ったと聞きました。家に帰ってから明美さんに電話をして伺ったところかなりお悪い様子でした。和子さんはオレゴンに引っ越し、折戸さんたちの近くで働くことになっていて、22日の朝、教会の川田みよ子さんが同乗してくださり、マイカーで一週間のドライブに出発しました。前の晩、私たちと武田の二人と和子さんの5人でお別れの食事をし、神様のお導きの中で若い時そのままの関係で楽しいアトランタ生活をご一緒できたことを感謝しました。荷物の方は、レンタカーのトラックに若い人も手伝って積み込み、教会の庭に待機していて、25日の朝、勇内さんご夫妻が乗り込んで追いかけてくださることになりました。こちらは大変な強行軍でしたが、28日の礼拝の中で「アト2,3時間で着くそうです」と電話連絡の報告を聞いてみんなほっとしたものです。ところが折戸さんの奥様のほうは和子さんが出発した翌日にはもう召されて、金曜日にはお葬式になりました。病気がわかってからわずか三週間余り、思いもかけない急逝でお力落としの折戸さんと教会員にとって和子さんの引越しはきっと大きな励ましになったことだろうと思います。お慰めを祈っています。
キャンプの後、真っ先にしたことは身体障害者用の駐車標を貰いに行く事でした。用紙に必要とする理由を医者に記入してもらい、医者と本人とがサインをして、運転免許事務所に行き発行されます。この「サイン」には「本人がサインしていることを確認した銀行など第三者機関の証明が必要」なのです。私の場合、お医者さんが銀行へ行って、銀行員の目の前でサインをして証明を受け、今度は私がクローガー(スーパー)の顧客窓口へ行って係員の前でサインをして証明を貰いました。歩くのが不自由な場合のほか、重い糖尿病も適用になるというのは面白いと思いました。障害者専用駐車場は建物の入口近くにあり、良く守られています。違反者は「罰金最高500ドル」と標識に書かれていますが、取締りをしているのは見たことがありませんから、そのせいではないでしょう。
12日には急に野球の券が手に入ったというので見に行きました。ブレーブスは大負けでしたが、夜風が涼しく楽しませてもらいました。翌13日から2泊3日、アラバマへ行きました。今回はいつものバーミングハムから北に2時間近く離れているハンツビルでの土曜日の集会に招かれました。ハンツビルの商社に勤める倉田淳次郎さんは、時々アトランタのいろいろな集まりに参加されていましたが、数ヶ月前からハンツビルの仲間と月二回日本語の集まりを始めました。今回は7名の方が集まりました。倉田さん、ブラジルからの日系人留学生竜君、日本からの留学生めぐみさん、ユダヤ人で日本語を学びたい青年、アメリカ人と結婚された京子さん、京子さんがお世話になった元宣教師夫人、それにお家を開いてくださったアメリカ人と結婚されたゆみさんという顔ぶれです。お昼はゆみさんのご主人やお子さんたち、京子さんのお子さんもご一緒に手作りのご馳走をいただきました。ユダヤ人の青年は律法に反しないように一つ一つ食材を確かめてから食べていました。今回は「正典としての聖書の成り立ち」を学びました。集会後ホテルで一休み、夕食は倉田さんが、竜君がアルバイトをしている日本食レストランに連れて行って下さいました。食事をしながらハンツビルの事をいろいろ聞きました。ここは有名なドイツのロケット博士が定住され、NASAのロケット研究の中心地になったのだそうです。国道沿いに大きなロケットの模型が建っています。アメリカ軍の再編が検討される中で、ハンツビルの基地は統合で拡大され、3000人の求人が出て活気付くだろうということです。ブライヤーウッドの日本語礼拝では、本教会の長老にお手伝いいただいて聖餐式を行いました。
20日の夜は、AJCF(青年の集まり)が発祥の地とも言えるマイクさん(理事)の家でありました。奥様のヘレンさんが「肉ジャガにトライした」と作って下さったのが、ご飯にかけて食べるようなちょっと面白いものでした。でもなかなかおいしかったです。そこで、ピッツバーグから最近越してきた友子さんという人に会いました。話してみると、東京も上野の近くの生まれ、ピッツバーグではいずみさん(私の知っている軽井沢の方)とお友達だったことがわかり、びっくりしました。その後、グリーンビルの集会でお会いした中年の留学生高橋さんが、四国の宇和島から来ましたとおっしゃるので、「宇和島には古川という友達がいます」と、名前をど忘れして考えていると「まもる?」と聞かれ、「それなら同じ教会です」とのこと、これまたびっくりでした。本当に「世界は狭い」です。
ところで、ハリケーン・カトリーナのニュースが日本でもかなり取り上げられているのでご心配いただいているようですが、私たちのところは何事もありませんでした。大きな台風の東側は竜巻が発生しやすいため、ジョージア州にも竜巻警報が出ました。1時間半くらい離れた所にはいくつか発生して被害も出たそうですが、この辺は雨と雷程度ですみました。事前に大きな台風だと分かって警報が出ていましたので、40万人?が西へと車で避難して行きました。それでもずいぶん大勢の人が残っていたのですね。車がない人たち、その日暮らしのような人たちもいたわけです。海面より3〜6メートル低いところにあったニューオーリンズは堤防の危険が前から言われていたそうです。5万人が水没した家に取り残されているとは信じられないようなニュースです。水が引いた後の家には野生の動物(毒蛇とかワニとか)がいるかもしれないので注意するように警告されています。まだまだ被害の実数が出ない有様です。3日にはアトランタの施設に250人が運ばれて来たとか、翌日には各大学が学生たちを講堂のようなところに迎え入れたと聞きました。そして、日曜日には、修養会場のジョージア・バプテスト・カンファレンス・センターから「明日700人の被災者を受け入れることになった。お祈りください。」という連絡が入りました。ここは1000人泊まれる施設です。一度に3〜400人くらい入る食堂もあります。でも長期に700人もが入ることは大変なことでしょう。集会の最終日は、例年二つの集会の間に30分の時間を取って部屋を空けるのですが、今回は集会前に部屋を空けて協力しました。日曜日の夕方から毛布など救援物資を積んだトラックが到着し始めましたし、月曜日になると食料品を積んだ大きなトラックが何台も到着。私たちが帰る頃にはおおぜいの赤十字の人やボランティヤたちが来て、ロビー一杯に大量の衣類、履物、おもちゃなどを分類し、並べる仕事をしていました。着の身着のまま、疲れきった方たちが、美しい自然に囲まれたこの施設で心癒され、一日も早く新しい生活が始められるように祈りたいと思っています。これから各教会でも援助活動が始められるでしょう。私たちが直接受けている被害が一つあります。アトランタのガソリンの25%がルイジアナ州から来ていたので、ガソリン不足と高値の問題です。ガソリンのないスタンドが出、便乗値上げするものありでちょっとパニックが起きかけましたが今は落ち着いています。
皆様の上に神様のお守りと御祝福がありますように。
郁 子