一麦:渡辺家のHP
アトランタ発第88便
2010・2・7
‘節分の豆まき’の声を思い出しています。 季節の変わり目が感じられる頃ですね。
アトランタは珍しく寒い日が多い年で、氷点下の日も何日か続きました。10時に教会へ出かけるのにも、車が凍っていて、まずは、それを溶かさなければならないこともありました。とはいっても、2,3日暖かい日があったりして小鳥の声も聞かれるようになりました。一昨日は、雨の間の晴れ間に、4,5頭の鹿の親子連れが新芽を捜してやって来ました。となりの敷地との境目の潅木の所で一生懸命えさを食べている様子に、しばらく見とれてしまいました。寒い冬の間、どこでどうやってすごしているのかといつも考えさせられています。でも、畑の野菜を食べられてしまったとか、パンジーを全部食べられたとか、ブルーベリーも半分食べられてしまったとか、困った話も聞かされます。私は初めから、畑は板囲いの中だけにして、外庭の方には果物の木を植える計画でいますので、喜んで眺めているだけです。果物といえば、先日リンが主人の記念に何か木を植えようと言い出して、二人であれこれ相談をしました。お花の木も考えましたが、やはり、「花より団子」みんなで楽しんでもらえるように果物にしました。すでに柿とイチジクと桃は植えてあります。ジョージアではみかんはダメだと聞きました。気温が低くなるからだそうです。それで、今回は、びわとなし(豊水)にしました。今が植え時と見えて、インターネットで注文しましたら二日後にはもう苗が届いて、あまりの速さに驚きました。早速、デービッドに穴掘りを手伝ってもらって植え込みました。もう少し暖かくなったら、耕運機を借りて、外庭にはミョウガと蕗を(これは鹿に食べられる心配は無いと思いますので)内庭にも新しい畑をもう少し広げてもらおうと思っています。今は、室内では日本から持ち帰った生ごみ乾燥機を使って、乾燥肥料を作り、外では落ち葉を集めて堆肥を作ろうとしています。でも、これはなかなか難しいです。本によれば、生のぬかを振りかければ良いと書いてあるのですが、こちらで手に入るのはぬかみそ用の「煎りぬか」です。これでも2倍もかければ良いかと思ったのですが、あまりうまく行ってないようです。今度は玄米を剥く器械でも持ち帰ることになるのかもしれません。
ずいぶん長い間かかりましたが、やっと前向きに一歩を踏み出すことが出来たと思っています。今は忠信の「家族」の中で過せることを本当にありがたいことだと感謝しています。でも軽井沢の文子さんのお手紙で「チビちゃんたちに・・・・云々」の文を見て噴き出してしまいました。そうです、かつてのチビちゃんたちは18歳と16歳の大きな若者なのです。おばあちゃんの遊び相手になってもらえる大きさではありません。18歳のマイケルは今日、運転試験場で試験を受けて免許を頂いてきました。8月からは大学生です。16歳のデービッドは、からだも大きく、一番の力持ちです。遊び相手になってもらうことはできませんが、ビンのふたが開かないとき、高いところのものを取りたい時には頼もしい助け手です。今この家で一番のチビちゃんは私なのです。もう一つの問題点、言葉の壁はどうにもなりません。誰も教えてくれるわけではありませんし、私も夫婦や親子の会話が私の存在で妨げられないようにと、願っていますので、バベルの塔(言葉の混乱の原因の話)が恨めしくなることもありますが、その寂しさは天国に帰る日まで、私が負わなければならないものだと覚悟しています。頼子とはメールで話すことが多くなった気がします。圭三さんが長い間(6ヶ月)仕事がなかったのですが、この月曜日から新しい会社に通いだしました。条件については不満もあるようですが、とにかく、仕事が与えられたことを喜んでいます。実は大変遠くて、この忠信の家からの方が近いくらいなのです。実際に通ってみて、どういう感想が聞けるかしらと、案じているところです。
ところで前の便を書いたのが私の誕生日の8日でした。雪が降って寒い日でしたが、ダイアナ(リンの妹)の夫、ビルがキトクになって、インディアナからリンとダイアナのお母さんスーザンがここまでたどり着いた時でした。翌朝6時、リンとスーザンは凍りついた道を9時間のドライブに出発しました。ダイアナの家族は山の中に住んでいるというので、あれやこれやと車に積めるだけ詰め込んで、二人がやっと乗れる状態で出かけていきました。とにかく、無事に着きましたが、ビルは翌日亡くなりました。葬儀の手配に手間取ってやっと火曜日になって、予定が決まり、木曜日の夜、忠信が子供たちを連れて出発することになりましたが、その火曜日の朝、松井家の近くのちやさんのご主人が急死された知らせが入りました。一人で透析をする病院まで運転して行かれて事務所まで着いて倒れられたそうです。すぐ救急車で運びましたが心臓発作で間に合いませんでした。ちやさんは運転をされませんし、四人の子供たちがニューヨーク、ロスアンゼルス、ハワイと離れているので、週末までは揃えないと言う事でした。驚いているうちにもう一人、節子さんと言うお友だちのご主人が、同じ日、夕食後、やはり、急死されたとのこと。お通夜に当たるビューイングが金曜日の4時から、葬儀は土曜日の11時からとの連絡です。忠信の出発は任せて、私は木曜日に頼子の家の方に行き、すぐちやさんの家に駆けつけました。息子さんは一人だけ着いていましたが、お父さんの残務整理に寝る暇も無い有様です。ちやさんはただただ一人で泣いていたそうで、とても喜んでくださいました。青森県野辺地の方で、私とは日本の話も出来るので、あれやこれやと、とりとめの無い話をしたり、思い出話をしたりして、二人で泣いたり、笑ったりして一日を過しました。その晩もう二人の息子さんが着きましたが、残務整理が大変な様子です。私は翌日も節子さんの方のビューイングに出かける時間ぎりぎりまで、ちやさんのところで二人だけの時間を過しました。電話はかかってくるのですが来訪者はこの間、お一人だけでした。日本ではちょっと考えられないのではないでしょうか。いわゆる「ご近所の方」と言うものが無いのです。節子さんの方は子供さんたちが近くにお住まいでした。遠いので私一人では行かれません。ビューイングには圭三さんに連れて行ってもらい、葬儀は頼子と一緒に行きました。チャペルの中でお棺に「赤白の布」がかけられている様で不審に思っていましたが、ご主人は軍人だったそうで、その後、雨の中でしたが、屋外で軍隊式の葬送の儀式がありました。三発の礼砲のあと、決まりにのっとって上にかけられていた「国旗」が丁寧にたたまれて、夫人の手元に運ばれ、続いて遺体が霊柩車に収められて式は終わりました。節子さんとは近いうちにお会いする約束をしていたのですが、思いがけないことになりました。
その日は、癌の再発で痛みがぶり返しているグレースの為に、ユタから兄のジョイルが1時50分の飛行機で到着することになっていました。私たちは葬儀の後、飛行場に回ってジョイルを迎えて、グレースのところへ連れて行きました。そのまま、私だけ残って夕食をしてから、ジョイルに送ってもらうつもりでしたが、話を聞いてみると、ジョイルは昨日出張から帰ってきてそのままこちらに来た様子、疲れているに違いありません。そこで夕食はまた今度と言う事にして、私たちは1時間ほどおしゃべりをして帰りました。あわただしい一週間でした。
ところで、20日の水曜日には、初めてここより北のジャスパーから2時間近くかけて恵美子さんがお出でになりました。恵美子さんは昔、頼子が今の日本クリニックに勤めていたころ、歯科の方に勤めていた方です。その時以来のお友だちですが、たまたま、主人のビューイングの時、牧実が着ていたスーツ(着物の反物から作った)が私の作品だと聞いて、自分もやりたいからと、来られる事になったのです。私はとても、お教えすることは出来ないけれど、「ご一緒に」ならどうぞ、と申し上げてあったのです。月に2回お見えになることになりましたが、とても、気さくで明るい方です。ジャスパーの周りには他に5人ほどの日本人のご婦人がいらっしゃるそうです。私の運転の腕が上がったら出かけるようにとお誘いをいただきました。何とか、この辺の道を覚えたいと思って、せっせとチャレンジしていますが、今日も、5回目になりますが「迷子」になりました。いったん迷うと、聞く人もいないようなところを延々と走ることになったりして、本当に心細くなります。自分がどこにいるのかも分らなくなり、本当に「右も左も」見当がつかなくなります。今日はケイタイも忘れて出てしまったので、いざとなったら、そういう時のために積んである「ポリス」と書いてある札を出して、誰かがポリスに連絡してくれるのを待たなければならないと覚悟したくらいです。幸い、どうやら、迷った初めの所にたどり着き、ほっとしました。前2回は避けて避けているハイウェイの入り口を見つけてそれで帰ってきました。来週の金曜日には病院の予約が入れてあるので、それまでに、たどり着ける様に道を覚えなければなりません。
先週はもう一つ新しいことを始めました。「創造論と進化論の勉強会」をはじめたのです。創造論と言っても、ただ信じるだけではなく、科学的に論じる勉強会です。本からのまとめで作るプリントで1時間、クリエーション・リサーチ・ジャパンで作っているDVDを見ての勉強を1時間します。このプリントは、ホームペ−ジに載せることは控えていますが、ご希望があればお送りしたいと思っています。私の力でどこまで出来るかわかりませんがとりあえず、月に一度の割で出来るところまでやってみようと思っています。神様のお導きのままに、です。
生ごみを 肥料に変える乾燥機ひびく わがこころにも肥料やらんか
友だちと 楽しい会話の最中に 「夫に告げん・・・」と 思うはかなし
ほしいもの 何も言われず 買いかけて 夫(つま)の一言 待ちし日思う
対向の 光の波に 射すくみて ノロノロ運転 祈りつつ行く
前はゼロ 後ろは長蛇の列つづく 不慣れの運転 申し訳なく
ふと湧いた 「忙しい」気持ち 久しぶり、生きる活力 戻りきたるか
夫(つま)さりて 五月(いつつき)、目前(まえ)に せまりたり 天国(みくに)のちかく さまよいし日々思う
たのまれて 孫に日本語 教うるは なんともうれしく 心のはずむ
花たちの 日光もとめる声おもい 雨降りなれど カーテンひらく
皆様、おかぜに気をつけてお過ごしください。
郁子